第6回 『気分転換100のコツ』




 実は、先日、私の身の上に、小さな【火の粉】が降りかかりまして、日々、『死んじゃおっかな!!ズキューン!!』的な思いに捕われ、まったり、グッタリな生活をしていた所、それを見兼ねた増田章が、一冊の本をくれました。

『まぁ、これでも読め。』

 彼が差し出した本には、こうあった。

『気分転換100のコツ〜いつもと違った自分を見つけるノウハウ〜』

 もう最高である。最高のタイミングでの登場である。この、あまりにも解り易く、一目見れば全ての内容が丸見えのこの題名。・・・・・すっかりヘコみました。

『あそこのコンビニで売ってたから・・・・、300円で。』

 追い打ちをかけるような増田の言葉。

『・・・・・へぇ。お手軽だね!!・・・・・凄いや・・・・・。ありがとう・・・・・。』

 ・・・・・何も【凄く】ない・・・。決して・・・・全く・・・・。解ってる・・・・俺だって解ってるよ・・・・。そのくらい・・・・。
 しかし、その時の私には、もうそれ以外に何も言葉は無く、只々、その定価(本体)286円税込み300円の『気分転換のコツ』を手に入れる事になった。









   〜いつもと違った自分を見つけるノウハウ〜









・・・・・『ノウハウ』・・・・・。あまりにも素敵すぎるこのネーミングセンスに、まったり、グッタリしていたmy heartも、少なからず熱を帯び、一体どんな『ノウハウ』が・・・と、2〜3ページを進めてみた。

 まずは、『前書き』色々と、『前向き』な言葉やギャグのようなものが『タメグチ』で書き連ねてある。何故に『タメグチ』?という疑問を残し『目次』へ。

 そこには御丁寧に『100のコツ』が全て『題名』として記されており、そのわずか数ページを読めば、これまた内容丸解りである。

 一つ例を挙げてみよう。

P.8  No.55 『都会にだって星はいっぱい。宇宙体験してみよう』

   ・・・・・・あれ?・・・・・・もう一つ。

P.8  No.52 『枕を替えて、おまけに北枕で眠ってみる』

   ・・・・・・え?・・・・・・あれ?北枕って?あの『北枕』?・・・・もう一つ。

P.10 No.91 『男性も、たまにはショッピング。自分のものは自分で買う』

   ・・・・・・『自分のものは自分で』?あれ?当たり前だよね・・・?

P.6  No.28 『ひとりでテーマを決めて尻取り遊びをする』

   え?!暗い・・・・よね?それ?・・・・暗っ!!暗いよ!!

P.6  No.31 『家中のものを、何でもかんでも、とにかく梱包してみる』

   引越し?だよね!?それ引越しだよね!?

P.6  No.32 『いろいろなタイプの遺言状を1年毎に書いておく』

   迷惑です。それは。色々大変になります。親族とか残された愛人とかが。

P.6  No.36 『鏡の前でパントマイム。いつの間にか自己陶酔』

   病気です。お母さん。息子さん病気です・・・・。

P.7  No.41 『子供の算数の教科書をこっそり覗いてみる』

   それ、どんな優越感だよ・・・。
   もお!!お父さん!!勝手に部屋に入るのよめてよね!?
   来週カギつけるからね!?お母さーん!?(怒娘)  ってなります。

P.7  No.42 『田舎へ移住してライフパターンを変えてみる』

   だからそれは引越しですよね?引越し。

P.7  No.43 『犬や猫やハムスターなど、とにかくペットを飼ってみる』

   とにかくじゃ飼えないでしょ?命は大事に。

P.7  No.44 『熱帯魚なら世話も簡単。眺めるだけでリラックスできる』

   結局、熱帯魚にしろと?

P.7  No.45 『苦手意識は捨てて、とりあえずパソコンを買ってみる』

   だから、とりあえずでは買えません。パソコンは。

P.7  No.49 『マンネリした彼との仲は、デートに和服でカツを入れる』

   一体いくらかかるんだよ・・・・。

P.7  No.50 『磨けば光る、この快感!!包丁を研ぐ』

   恐い恐い恐い!!

P.5  No.18 『子供時代の甘酸っぱい思い出。初恋の人を探してみる』

   研いだ包丁持って?



・・・・・もう駄目だ・・・・この本・・・・。

 しかし!!まだ『目次』である。『目次』は『目次』。本編はもっと違うハズだ!!私はページを進めた・・・。

P.12  No.1『別人ごっこで違う自分になってみる』

   ・・・へぇ。・・・別人ごっこねぇ・・・・。

 内容は、『ヒーローごっこ』や『ままごと』的な遊びを今する事により、生活に刺激を!!と言った内容。・・・・まぁね、最初だからね・・・。
 なにせ、この本には『気分転換のコツ』が『100』も入っているのだ!!ページを進める毎に『転換レベル』がグングン上がり、最後の100番目には、もう考えも及ばぬような方法で『転換』が計れるハズである!!

 冷静に考えれば、先程並べ立てた題名達の中にだって、『あっ、そうかもな。』といったものも幾つかあった気もするじゃないか!!・・・たぶん・・・。いや、あった!!あったはずだ!!あったんだ!!さあ!!今こそページを進めろ!!希望を持って!!『No.100』はもうすぐそこだ!!そら!!ページを開くんだ!!えい!!



P.174  No.100 『マイカーで気分爽快。車内を癒しの空間にする』



・・・・へぇ・・・・普通じゃん・・・。

 内容は、休日にボディ磨きはそこそこにして、車内を【徹底的】に掃除しよう!!というもの。



・・・・結局、洗車じゃん・・・・。全部読んじゃったよ・・・・俺・・・・。



   (突然鐘の音:少年少女の美しい歌声:くるくる天使が降って来る。)

・・・・パト○ッシュ・・・・僕はもう疲れたんだ・・・・。ゆっくりと眠らせておくれよ・・・・明日の朝、目が覚めたら、また一緒に旅に出ようじゃないか・・・・すっきりと気分を変えてさ・・・・。

・・・・ね?いいだろ?パト○ラッシュ・・・・。

   (鐘の音:少年少女の歌声大きく:天使が有無を言わさず昇天)


   〜で、次の朝〜

 目覚める私。片側にはパト○ラッシュ(張り子:材質 紙 ひも付き)

『おはよう・・・・さあ行こう!!』

『・・・・・・。』(まぁ、所詮、紙だからね。)

ズルズルと引きずられるパト○ラッシュ。心機一転2人(正確には『1人と1枚』)は旅に出る・・・。

心機一転・・・・心機一転・・・・心・・・・












あれ!?気分変わってる!?


この本・・・・『効き』ます!!


                                       合掌。


                                          宮崎 健 inserted by FC2 system